丸亀うちわとは

持ち歩き「涼」を楽しむ伝統的工芸品

じっとしていても汗が体を伝うような暑さとなれば、涼をとりたくなるもの。多彩な形や雅やかな図柄が施され、心まで涼しくしてくれる「丸亀うちわ」。海と山に囲まれた風光明美な丸亀地方に古くから伝わり、継承され続ける職人の繊細、かつ、鮮やかな手仕事で世に知れわたってきた。1本1本に趣のことなるそれを手に持つは粋な姿を映し出し、ゆるやかに煽ぐは優美な姿を映し出す。一本の竹から作り出される「丸亀うちわ」は、古き良き伝統を守りながら時代の移ろいとともに、これからも進化し続ける。

江戸時代から続く歴史と文化。

慶長5年(1600年)、丸亀の旅僧が九州で一宿のお礼にうちわの製法を伝授したのが、熊本来民うちわの始まりと言われています。このため、「丸亀うちわ」の技術は江戸時代初期までに確立していたと考えられています。寛永10年(1633年)になると、金毘羅参りのお土産として天狗の羽団扇にちなむ朱色に丸金印の『渋うちわ(男竹丸柄うちわ)』作りを考案。その後、丸亀藩が藩士の内職にうちわ作りを奨励するなど、代表的なうちわ産地の基盤を築くことになりました。

歴史

受け継がれる伝統と卓越した職人技。

「伊予竹に土佐紙貼りてあわ(阿波)ぐれば讃岐うちわで至極(四国)涼しい」と歌い継がれる丸亀は、材料すべてを近隣で揃えられる恵まれた土地。また、全47もの製造工程のほとんどを頼る職人の手仕事は「丸亀うちわ」の要です。地紙ひとつとっても、破れにくくするため、素材の厚さにより糊の濃度を調節するなど、「丸亀うちわ」は最高の材料と卓越した職人技の集大成なのです。

伝統

日本一の生産量と多様な形状。

うちわ作りの職人が多く在住していた丸亀では、全国から特色あるうちわ作りを任されるようになっていきました。そのため、柄と骨とが一本の竹から作られる、本来の「丸亀うちわ」と、各産地の要素が融合。こうして、多くの特長を得た丸亀うちわは、今では国内シェア9割に上る年間約1億本以上もの生産量と、形の多様さともに日本一を誇り、平成9年には国の伝統的工芸品に指定されました。

現在

47の工程に込められた職人の「心」磨き抜かれた「技」

丸亀うちわづくりには、大きく分けて「骨」と「貼り」の工程があります。一つ一つの工程に日本一の伝統を守る「丸亀うちわ」の職人芸が光ります。なんともいえない温もりは、気の遠くなるような手作業から生まれます。1本のうちわができるまで、実に47に上る工程があります。

ふしはだけ

ふしはだけ

一定の幅に割った竹の節を除き、穂になる方の内身を取る。その際、均一の厚みにしていく事が重要。

割き

割き

「切込機」で穂先より約5cm~10cmのところまで切り込みを入れる。穂の数は32~42本で、同じ間隔で裂いていく。

もみ

もみ

上部に切込みを入れた竹を左右にひねり曲げて、竹の繊維に沿わせながら、ふしまでもみおろす。

穴あけ

穴あけ

穴あけ用のキリを使って、鎌を通す穴をふしの部分にあける。これは三つ目錐が用いられる。

鎌削り

鎌削り

切り出し小刀にて加工します。丸亀うちわの美しい曲線を表現する大切な部分。うちわの種類によって太さ、長さが異なる。

編み

編み

鎌を通し、その一端に糸を縛り付けて穂を編む。主に白い綿の糸だが、絹糸や色付きを使用することもある。

付け

付け

鎌・糸山が美しい曲線となるように穂を揃えながら、左右対称にして、糸をとじつける。

貼り

貼り

うちわの種類などによって「のり」の濃度を調整し、穂や地紙の必要な所に「のり」をつけ、地紙を貼りつける。

たたき

たたき

うちわの種類に応じた形の「たたき鎌」を当て、木づちでたたき、余分な部分を切り取り、うちわの形に仕上げる。

へり取り

へり取り

うちわの周囲に「へり紙」と呼ばれる細長い紙を貼る。その後、「みみ」や「ぎぼし」を貼り完成。

丸亀うちわのカタチ

丸亀うちわは昔から、涼をとるだけではなく、料理を冷ます、炊事・起火、陽射しをよける、虫をはらう、ファッション、飾りなど、様々な用途に使われてきました。そして、その用途に合わせた様々な形、図柄、種類が存在し、皆に親しまれてきました。

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香川県うちわ協同組合連合会